「日南先輩!どうしてここに……?」

「サリーちゃんに会いたかったんだけどさー、1年の教室に行くのって気が引けるじゃん?だから、どうしようか迷ってたんだよ」

「日南先輩でも他の学年の教室に行くのは躊躇うんですね」


ドアを閉めて、4階に日南先輩がいる不思議さを噛み締めながら近寄った。


「普段だったら気にしないけど。やっぱり女の子に会いに行くってなると、ちょっと違うから」


……女の子。
まるで異性として意識されているみたいで照れくさい。


「そうそう。それで思ったんだけどさ」と話を続ける日南先輩。

「俺、サリーちゃんの連絡先知らないなって。スマホ持ってる?」

「はい。私もちょうど知りたいと思っていて……」

「マジ?嬉しい」


スマホを取り出して、連絡先を交換する。


まさか日南先輩の連絡先を知れるなんて、少し前の私だったら考えられなかったと思う。

新たに友だちに追加された「日南万桜」の文字に、ほっこり。