「まだ名前を言ってなかった。俺は日南マオ」


今さら自己紹介なんて……と思ったけど、日南先輩の下の名前を聞いたのは初めてだった。

マオ……どういう字を書くのだろう?


「えっと……、私はこう……坂下彩織です。“彩りを織る”で彩織です」

「彩りを織る。なんかカッコイイ!……俺は、“1万の桜”で万桜(まお)


万桜──すごく日南先輩らしい名前。


「俺の髪がピンクなのも、名前に“桜”が入ってるからなんだ。桜って言えばピンクだろ?だからピンクにした」

「え、そんな理由なんですか……?」


そんな理由で髪色をピンクにするんだ……。
私にはわからない。


「それなら私は……カラフルにしないとですね。彩り、だから……」

「ははは!なにそれ!ユニコーンカラーってこと?」


……び、びっくりした。
いきなり大きく笑うから。