私は自分の手元に視線を落とす。 ……どうしよう。 ストップウォッチを止めた方がいいのかな。 私の役目は、みんなのランウェイ時間を計測すること。どう考えても今の時間って、意味のない時間だよね。 ストップウォッチのボタンを押そうとした時だった── 「俺のこと見つけられたー?」 腹の底から叫ぶ声が、耳を貫いた。 ……え? 「はぁ、なんだよそれ」 「意味わかんねー」 「せめてカッコイイ台詞言えし」 ぎゃははと無遠慮な笑い声が飛び交う中。 私だけは日南先輩を見つめて。先輩も私を見ていた。