気づけば、私のマンションの前に到着していた。


「じゃあね」

「はい、ありがとうございます」


一緒に帰る時はいつも家の前まで送ってくれる日南先輩。そのたびに、屈託ない笑顔で「またね」と言ってくれる。


だけど今日は、名残惜しそうに背中を向けた。


4日間、会えない。

あの2週間に比べれば大した時間じゃない。


……けど。


私は、日南先輩のコートを摘まんで引き止める。


「……平気じゃないです。私も寂しいです」


そう本音を零した。


寂しいよ、寂しいに決まってる。


これから日南先輩は、会いたくても会えない場所に行ってしまう。

たった4日間でも、日南先輩が遠くへ行ってしまうのは寂しい。


でも、行かないでなんて言えないし。修学旅行を楽しんでほしいって思うのも本当。


「サリーちゃん」

「……はい」

「離れられなくなると思ったから触らなかったけど──」