「それにしても、坂下には感謝しないとな」


腕を組み、ギシッと音を立てながら背もたれにもたれる石橋。


ガタイのいい石橋は、いつも職員室の自分の椅子を大きく軋ませる。

……そのうち壊れるんじゃねぇか?


「なんで?」

「いくら俺が言っても休みが多かったお前が、ここ最近は、毎日ちゃんと学校に来てるじゃないか。……坂下の影響だろ?」


ニヤッと大げさに口元を緩める。


……ほんとやだ、この先生。

マジでなんでもお見通し。
だから学年主任なのか?


「わかったよ。持って行けばいいんだろ」

「頼んだぞ」


仕方なく世界地図を持ち上げる。

黒板に貼りつけるタイプの世界地図……意外にデカい、コレ。


怪我したら慰謝料請求してやる。

──と悪態をつきながらも、向かう先がサリーちゃんのクラスならいいやと思う俺は、単純。