「坂下。英語の宿題やった?」


腰を捻るように振り返り、星野くんが訊いてくる。


「うん。やったよ」

「見せて」

「やってないの?」

「部活で疲れて、帰って寝落ちした」


星野くんは剣道部に入っている──と最近知った。

それと、案外おっちょこちょいで忘れ物が多いことも知った。


なんでこんなに星野くんのことを知る機会が増えたかというと、クラスで浮く私に星野くんだけは話しかけてくれるから。

会話が増えれば、自然と知ることも増える。


共通の話題は日南先輩だから、星野くんと話すのは素直に楽しい。


昼になれば愛良が来てくれるし、浮いていても大して気にならない。


今は日南先輩のことだけを考えられたらいい。

……というか、勝手に考えてしまう。


日南先輩の話をしている時はもちろん、他のことをやっている時──例えば、授業中とか。気づけば日南先輩のことを考えている。

変態か!って思うけど、仕方ない。