────ピロン。

ちょうどその時、通知音らしき音が響いた。


「んじゃ。俺、そろそろ帰るわ」

「あ、はい。ありがとうございます」

「こちらこそー」


手を振る仕草が想像できるようなその言葉を残して、彼は帰って行った。



……あ!有益な情報をもらってない!

名前を教えてくれなくてもいいから、ヒントくらいもらいたかったのに……。


また私は、彼を探す羽目になるのか……。
学校に来ていないかもしれないのに……。



そう思っていた。



────だけど、思ったより早く。


私は、階段の彼を見つけることになる。