「もしや、日南のこと意識してる?」


光石先輩も意地悪……!
言葉にして言わなくたって……。


「え!?……本当?」


日南先輩と目が合った。

……そんな嬉しそうな表情を向けないでください。


みんなが私をからかうから、顔を伏せて両手で隠す。もうその行動自体が照れ隠しってバレバレ。


ていうか、意識するなって方が無理だから……!

むしろなんで日南先輩はそんな平然としていらっしゃるの?経験の差ですか!?


ちょうどその時。
私を助ける天の声が耳を貫いた。


「クラスごとに並んでくださーい」


……まぁ正確には、天の声ではなく、地に足をつける先生のマイクを通した声だけど。


でも、おかげでみんなが移動を始める。

先輩たちも「じゃあね」と言って2年生の場所に戻って行く。


助かった……。


────ふと。

日南先輩だけが振り返った。