「……サリーちゃんはなんでいないの?」


用があったのはしのだけど、どうせならサリーちゃんの顔も見たい。


「先生に呼ばれて、今さっき出て行った」

「ふーん……。サリーちゃんの席ってどこ?」

「ここ」


そう言って指したのは、しのの後ろの席だった。


「ここ!?えー、いいなー」


同じクラス、前後の席……羨ましい。

羨望の眼差しを向けながら、サリーちゃんの席に座った。


1番後ろの席。
黒板が遠くて、クラス全体が見渡せる。

サリーちゃんは、どんな風に授業を受けているのだろう。


「いや、用が済んだなら帰りなよ」

「シャーペン貸して」

「は?」


しのからシャーペンを借りて、机に「サリーちゃんへ」と書いた。

せっかくだからメッセージを書こう。
授業中、俺のことを思い出してもらえるように。