恋は深い。


……あ、いや、詩とかじゃなくてね。

例えるなら沼。それも底なし沼。
深くてどこまでも無限に続く……。


溺れる準備はできているって言って、気づいたらこんなにハマってる。


たった1人の女の子のことで一喜一憂して。
今までの俺だったら考えられないこと。


サリーちゃんだけが俺をかき乱す。



4階1年の教室。

俺がいるのがそんなに珍しいのか、好奇の目に晒されながら名前を呼んだのは──しの。

一気に注目を浴びて怪訝な顔をされる。


「……坂下ならいない」

「今はしのに用があって。ジャージ貸して」


窓際後ろから2番目の席に座っていたしのに近寄って、改めて声をかけた。


なんで?と言いたげな顔をしたので、この後2年生全員の奉仕活動があることを説明したら、しのは──


「昨日の夜に洗って乾かなかったから持って来なかったんでしょ」


と言いながら貸してくれた。

さすが幼なじみ。当たり。