「わかってるよ。気にしない」

「そうそう。黙れって言ってもうるさいのが日南だからな」


俺にとってうるさいは褒め言葉だよ。



息を大きく吸った俺は──


「サリーちゃん!」


校庭に向かって叫んだ。


1年の目が同時にこっちへ向く。
もちろん、サリーちゃんも。


「うわ、日南先輩だ……!」

「今なんて言ったの?」

「わかんない……人の名前かな?」


周りがざわざわする中、サリーちゃんだけは驚いて目を丸くしている。

にっこり笑うと、顔を赤くしてぺこりと小さくお辞儀をした。


「お前な……そういうとこは直せよ」


呆れるあおやんたちのため息。

今だけは許せ。
いつも通りの俺は、こうだから。