車の中に犬飼組の組員たちがたくさんいるんじゃないか。
ここで捕まるんじゃないか、なんて身構えたけど……車内には運転席に座る黒服姿の男性1人しか見えない。


……車は、大丈夫そう?




それでも私は車内をもう一度よく確認。
男性1人だとわかったら、車に乗り込んだ。


即発信する車。



私は持ってきた鞄を強く握る。



鞄の中には、もしものためにといろいろ入れてきた。
スタンガンにナイフ、拳銃、爆竹、ライター。


これは暁の部屋と暮人さんの部屋にこっそり入って、借りてきたもの。



“もしも”なんてないことを祈るけど、ヤクザの世界では本当になにが起きるかわからない。


1人で敵地に行くんだし持っているに越したことはない。