……えっ。


ピタリと手をとめて、彼に目を向けた。



留年しろとかおもしろがって言ってるだけかと思ったんだけど……。

暁は寂しいから、私にもう1年いてほしかっただけなの?



……可愛い。
素直に言うところも可愛い。



「美鈴と学校でイチャイチャできなくなんのヤダ。留年しろ」


暁は動きをとめて、じっと私を見つめる。




……私も、先に卒業するのが寂しくないわけじゃない。


高校を卒業したら、今までみたく暁と2人でお昼を食べられなくなるし、一緒に登下校することもなくなる。


2人でいられる時間はぜったい減るだろう。



それは本当に寂しいことだけど……留年はやっぱりしたくない。