季節はめぐり、春。
私は3年生に、暁は2年生に無事に進級した。




「あーあ。留年すればよかったのに」


お昼休み、お弁当を食べ終えたあと彼は私の肩に自分の頭を乗せてくる。


暁は心の声がだだ漏れ。
その言葉は今日だけじゃなくて、もう何度も聞いた。


すごく残念そうにしてるから、本当に私の留年をのぞんでいるのかと思うほど。


「美鈴、2年になれよ」
「ヤダ」


「じゃあ3年で留年しろ」
「ヤ、ダ。ぜったい卒業するもんね」


「…………」


ムスッとする彼。
ぐりぐり頭をぶつけて地味に攻撃してくる。



「もしかして、私が先に卒業するのが寂しいの?」


笑いながら聞いた。
なーんて、と付け足そうとした時に




「寂しい」


ぽつりと返ってきた言葉。