……だけど。


「先輩が嫌じゃなかったら、その……また誘ってもいいですか?」


私の無言を肯定と捉えた後輩くんは最後の一押しを加える。


4度目のぶつかる視線は期待に満ちた光を宿していて……色素の薄い瞳はあの苦手な真っ黒な瞳とは大違い。


わかりやすく自分の気持ちを見せてくれる後輩くんは、私を不安にさせないんだろうなって無意識に昔の人と比べてしまう自分は酷い女の子。


……もしも、私の心に居座るその人を後輩くんが忘れさせてくれるなら。


馬鹿な私に、素直に思っていることを伝えてくれるのなら。


この子を信じてみるのもいいんじゃないかって。


甘えてしまってもいいんじゃないかって、脳内で悪魔が囁いた。


『いいよ』


歓迎の3文字を口に出そうとしたその瞬間。



「―――ダメ」



横から伸びてきた大きな手が私の口を覆い、手の主が私の代わりに答えを出す。