理事長室へと移動した私たちは、鞠と緑に『用事が出来て合流出来なくなった』と、メッセージを送った。



先程からずっと無言の佐藤は、何を考えているのか、わからない。

私たちは理事長室にあるソファーに座らせてもらって、お茶を出していただいていた。

あくまで理事長相手なので、ちょっと恐れ多いけれど。



「あの……先程は私も取り乱して、お騒がせしてしまい、申し訳ございませんでした」

「いやいや、いいんだよ。それだけ氷と真剣に向き合ってくれているということじゃあないか」



氷……佐藤の、本当の名前。

佐藤氷



「その、どこから聞いたらいいのか……どこまで今話せるものなのかも、私にはわかりませんが……。あまり無理に聞きたいわけではないので、今聞ける所だけでも、教えていただけますか」



何がどうなっているのか、私としても未だ情報が整理できていない。

すると、俯いていた佐藤がふいに顔を上げて私を見る。



「和香……怒ってないの?」

「事情が事情っぽそうだから聞けること全部聞くまでヘタな判断しないようにしてるだけ。話し終わったら覚えといて」

「ハイ」