夢を見た。



佐藤がこちらに手を伸ばしていて、私はその手を握ろうと手を伸ばすけれど。

別の方向から名前が呼ばれる。

そちらには緑と鞠の二人がいて、私を誘っている。



私は悩む。

佐藤の方に行くか、緑と鞠の方に行くか。



なんで反対方向にいるの?

なんで……一緒じゃダメなの?

ずっと一緒に、いたじゃない。

これからもずっと一緒に、四人でいるでしょう……?



佐藤が伸ばしていた手を下ろす。

なんで……なんで下ろしたの?

なんで背を向けようとするの?



なんで、行かないで、どこにいくの、私を置いて──



「いかないで」



薄暗い部屋の中、ポツリと自分の響いた声が耳に届いた。



「……夢」



なのに、喪失感がすごくて。

寂しくて、苦しくて、戸惑ってしまう。



いつも通りの、一人暮らしの小さな部屋の中、カーテンの奥はまだまだ暗い。

手探りでスマホを探すけれど、いつも置くベッドの端には置いていなくて。

あぁそうだ、机に置いていて、佐藤が家に来て、お酒飲んで、佐藤が────。



佐藤、は?帰ったの?今何時?

ぴか、ぴか、光るスマホの明かりは緑色。



起き上がってスマホに受信しているメッセージを開くと、佐藤からだった。