そう、腕一本しか触れられていない、のに、おかしい。
なんだこれ、なんでこんなので私の体、変な感じになってるの。
「のどかの全身を、のどかの隅々まで巡ってる血が、この下で流れてるんだなぁ……って」
「あんた今めちゃくちゃ危ない発言してると思うんだけど」
「いや、変な意味じゃなくて」
「変な意味以外のなにものにも聞こえないんだけど」
佐藤の言葉の意味を読み取ってなのか、それともその吐息が未だに皮膚の内側に刺激を送っているからなのか、こちらの呼吸まで乱れてきて。
いや、アルコールのせい、アルコールのせいなんだけど。
腕に落とされていた視線が、ゆっくりとこちらに向けられると、また楽しそうに笑う。
「耳まで、まっか」
「あ、アルコールのせい」
「言い訳、本当にそれでいいの?」
バクバクと忙しなく動く鼓動、熱くなっていく体、速くなる呼吸。
アルコールだけなわけない、低い度数の缶一本すらも飲み終えていないのだから。
佐藤に、飲み込まれてしまいそうだ。
髪を巻いて、メイクもキッチリきめていて、ほんのり柑橘系の香りを漂わせる佐藤に、酔わされて。
「のどか、今、すごくそそる顔してる」
負けてしまいそうだ。



