指先がきゅっと引かれ、たいして幅のない机の向こう側にいる佐藤の元まで誘われて、そして、その手入れのされた頬に私の手が当てられる。
「友達の距離じゃ、満足できない体にされちゃったわぁけ」
頬擦りされる手の甲が、くすぐったい。
何とも言えない気持ちが胸の奥底から込み上げて来て、気まずい気持ちが膨れ上がる。
「ね?」
真っ直ぐと見つめる瞳に、射抜かれて。
「責任取って、早く好きになって」
もう、感じたことがないくらいに恥ずかしくて、どうすればいいかわからなくなって、余裕がなくなって、いっぱいいっぱいになる。
空いた片手で顔を隠そうとするも、手が足りなくて隠しきれない。
「のどか」
柔らかく、低く響くその声に、私の耳も慣れてきていて。
その声を聞くと、ダメだって思う。
身体中がなにかを求めてしまう。
佐藤のその声に呼び起こされて……何かを期待してしまう自分がいる。
それは……そう、あの観覧車の日から。
「俺の気持ち、さすがに気付いてるでしょう?」
「……き、急に、男に戻るのは……ずるい」
「なぁに?この声に反応してんの?」
クスッと笑われるけれど、こちらからしたら心臓に悪くてそれどころではない。



