「和香はそういう言葉に靡いたりなんかしないからいいじゃない」
靡かない……とは、私も思ってるけれど。
なんだか、佐藤といる時は、私のペースが乱されているような気がするんだ。
「……私、心があるかもしれない」
淡々として起伏の少ない感情、めんどくさがり、省エネ、怠惰。
そんな私に起こり始めている小さな変化は、私にも小さすぎて、微かで、ちょっとした違和感でしかないけれど。
「そりゃあ、和香はAIとかじゃないんだから。四人の中の誰よりも、この四人でいることを大事にしてくれてる子だと、私は思ってるけど。違う?」
そんな答えを堂々とくれる緑を見上げれば、ふっと笑った彼女がいて。
「やっぱり、緑はイケメン枠」
「褒められてるってことにしておくわ」
そんな緑の言葉が、何度も何度も反芻してしまうくらい、嬉しくて、本当は泣いてしまいそうになった。
私はただ対応が柔軟なわけじゃない。
関係が壊れてしまうことを、酷く恐れているだけだ。
冷静だからじゃない、優しいからでもない。淡々と、淡々と。
自分が傷付くことが怖いから感情を大きく揺らさないし、状況に適応しようとすぐ受け入れられるだけなんだ。
私は、誰よりも臆病だから。



