こくっと飲み込んだ甘みと炭酸は、この前飲んだ酒のような苦味を含まない。
お酒はあんまり好きでもないからね、私。
そんな姿をじっと見つめていた佐藤が、また口を開く。
「……やっぱさ」
「なに?」
「……和香には、名前で呼ばれたい」
急になにを言い始めたのかと佐藤を見返すけれど、至って佐藤の瞳は真剣なようだ。
「いや、それだと鞠と緑にそのうちバレそう……いや、もうバラしてもよくない?二人にもいつかは蜜ちゃんのことを紹介するんでしょう?」
「するけど……そうだよな、和香はぼんやりしてるから呼ばせてたらいつかボロが出る……」
「その通りだろうけどなんかムカつく」
軽く、佐藤の足を蹴ってやった。
その足元は、普段スカートで露出している脚が見えず、デニムに隠されている。
佐藤のデニム姿なんて初めて見るんじゃないだろうか。
上はシンプルなパーカーだけれど、髪はやはり赤い。
大学ではウィッグを付けているくせに、地毛まで赤くする必要はあるのだろうか。
「マリリンにもみどりんにも、話しても拒否されるなんてことは思ってなくてさ」
「その呼び方は男バージョンでいても変わらないのか」



