それに対する返事はなかった。
しばらく考えているようだったけれど、結局ため息をひとつ零して、ベッドに座ったままスマホを触り始めた。
仕方がないので、持ってきてくれた袋に入っていたおにぎりを取り出して口に運ぶ。
そばにいられると、気まずくて食べづらい……。
なんて思っていたところ。
「モブ子先輩って昔の千広さんも知ってる感じでしたよね。千広さん、中学の頃は今より荒れてたって聞きましたけど」
開吏くんがぽつりと話し出す。
「うん、まあ……。やんちゃ?だった気はする。でも親しみやすかったよ。ほら、千広くんって案外明るいし、よく笑うし」
直後、ぎょっとした目を向けられるから何事かと思えば。
「よく笑う? 千広さんが?」
「え、うん」
「いや、ない。千広さんが笑ってるのとか見たことない──こともないけど……」
ふたりしかいないのに、どうしてか声を潜めた開吏くん。
「千広さんが笑うのって、相当キレてるときですよ」



