「例えば、黒土絢人はギャンブルの天才だって言われてました。同じ赤帝のKINGは頭が相当キレるみたいで、交渉の天才って言われてます。どんな取引でも必ず成功させるらしいですね」
「へえ……なんていうか、すごいんだね」
ここまで次元の違う話をされると、当たり障りのない相づちしか出てこない。
「そしてウチのJACK・今屋敷 冽は”調薬の天才”……。モブ子先輩が飲まされた薬は、冽君が1から全部つくったものです」
「んな、そうだったの……。っ、ていうか、そうだ、あの薬を飲んだあとの記憶がないって……わたし、その話をしてたはず! 昨日の夜のこと知りたいんだけど」
「オレが知るわけ無いでしょう。千広さんがなんでこんなモブ女を預かるって言ったのか、ほんっと理解に苦しむ」
心臓がどき、と静かな音を立てた。
「てことは、やっぱり昨日の夜、わたし、千広くんとふたり、だった……?」
「……うん」
「っ!」
すると、ぎろりと睨まれ。
「これだけは教えてやる。間違っても千広さんがあんたみたいな女に手出すわけない」



