「………、怒ってないし嫌ってない」


ベッドから距離を置いていた千広くんの手が、ぎこちなく伸びてきた。


「あと、ひとりにもしない。……今日はどこにもいかねえよ」


わたしがわがままを言ったから、ここにいてくれる、みたい。



「ほんと?」

「ああ」

「よかった……うれしい」


千広くんの大きな手が、わたしの視界を塞いだ。


「すぐ楽にしてやるから目つぶってろ」

「なんで?」

「………心配しなくても最後まではやんねーよ」


会話、噛み合ってないけど……。


「薬のせいでこうなってるだけのお前抱いても意味ないしな」


ぼそりと呟かれたセリフは、聞き取れず。