言われたことの意味よりも、どうして千広くんが怒ってしまったのか、回らない頭で理由を必死に考えてしまう。
このままだと、ひとりでこの部屋に置いて行かれていかれるんじゃないかと思って、急に悲しさが襲ってきた。
「ひ、ひとりはやだ……っ、いかないで」
ベッドに手をついて上半身を起こす。
「楽になりたいけど、ひとりにされたらさみしい、千広くんもいて」
「おいあやる、」
「あと、怒んないで……きらわれたかと思って、こわい……」
「………」
言ってることもおかしい、文脈もおかしい、千広くんをまた困らせてしまう。
もしかすると、今よりも怒らせてしまうかも。
だけど、いつもは絶対に口にできないことが勝手に零れていく。
大事に仕舞っていたものも、容赦なく曝け出させる強い力がどこかで働いている。
理性が奪われるってこういうことなんだと思う。