沈黙が訪れる。
あれだけ「こっちを見ろ」と言っていた千広くんが、ベッドから少し離れる気配がした。
「やっぱ薬って怖えーな。あのあやるが、簡単にこんなこと言うんだもんな」
「え……」
なんか……少し怒っているように見える。
どうして? さっき水を零してしまったときには全然怒らなかったのに。
今のわたしの行動のどこに気に障る要素があったのか、わからなくて不安になる。
いや……気に障るというか、単純に引かれた……のかも。
「楽になりたいんだったらやり方教えてやるよ。そしたら俺が居なくても慰められるだろ」
「やり方……? なん、の? 千広くんがいなくてもって……?」
ぶっきらぼうに放たれる言葉の意味を考える余裕は、とっくに奪われてしまっていて、ただ繰り返すことで精一杯だった。



