うるさいと口では言いながらも、わたしの頭に優しく手を乗せてから、離れていく。
千広くんって、前からこんな感じだったっけ……。
無意識なんだろうけど、どこか甘い気がするのは、くすりでの作用でわたしの感覚がおかしくなっているから……?
「飲め」
500ミリのペットボトルを、すでにキャップを外した状態で口元まで持ってきてくれた。
「あ、ありがとう」
受け取った。つもりが、うまく力が入らず、ペットボトルがつるりと手の中を抜けていく。
飲み口が傾いて中身が零れる一連の流れが、スローモーションで流れて……。
「っあ…」
「ぶねぇな」
床に落ちる寸前、千広くんがとっさに掴んでくれたおかげで、中身を全部ぶちまけずに済んだのだけど。



