まっすぐ射抜いてくる。
嘘は一切通用しないと本能的にわからせるような強い力がある。
「お、お父さんに」
「父親?」
「昨日久しぶりにあって、家族内の問題で口論になって……怒らせちゃって。避けれなかったから」
「……そうか。痛かったな」
そのままさらに腕を引いて抱き寄せられ。
仄かなムスクに包まれた瞬間、耐えきれなくなった涙が零れる。
それに気づいたのか、背中を優しくさすってくれた。
お父さんに殴られたことが悲しいんじゃない。
むしろ、そんなのどうでもいいって思えるくらいに、千広くんが優しくしてくれることが嬉しくて、どうしようもなく好きだと思って。
伝えられない気持ちが雫になって次々と溢れる。



