雨風が吹けばすぐに消えてしまうのに。

そもそも、ここは幹部室とは正反対の位置関係にある。

千広くんが来ることはまずありえない。



だけど……そういえば。


──『よお、久しぶり』


QUEENに選ばれた日、ここへ逃げてきたわたしを千広くんは見つけてくれた。


たまたまかもしれないけれど、あのとき、見つかってしまったという焦りの裏で、実はすごく嬉しくもあったんだ。