「……おっと、安斉さんへーき?」
気づけば脚の力が抜けて、絢人くんに抱き留められていた。
「ごめ……なさい」
なんとか体勢を整える。
大河くんは昨日、黒帝のデータを盗んだ。
あの余裕は、すでに目的を果たしたことからきていたのかもしれない。
「じゃあ、おれはこのへんで。長居したらおれの身が危ないしね」
絢人くんは、にこ、と微笑んで背を向けた。
ぼうっと見送っていると、彼は思い出したように、一度だけわたしを振り返った。
「おれが来たことはどうかご内密に。ていうか、話してもいいことないぜ、あんたが怪しまれるだけ」



