だけど……相手は千広くんじゃない。
いったい誰……?
頭のキャパはすぐに限界を迎えて、操られるように頷けば、拘束する力が弱まり。
恐る恐る顔を盗み見た……つもりが、視線がしっかり交わって、びくっと肩が揺れる。
反射的に目をつぶった。
「──、あんた……」
少し間を置いたあと、驚いたような声が聞こえて、また恐る恐る顔をあげる。
「……安斉さん?」
「え……」
すぐにはピンとこなかった。
だけど、記憶を巻き戻してはっとする。
「絢人くん、ですか……?」
彼は、躊躇うように一旦目を逸らした。
この反応は間違いない。
中学時代、千広くんと仲が良かったはずの彼だ。
黒帝を裏切り赤帝に寝返ったという、黒土絢人くん──。



