「じゃーね、あやるちん。頑張るんだよ、応援してるからね!」
「あはは、べつに今日告白するわけじゃないんだけどね。ありがとう〜」
放課後、ヒナタちゃんから満面の笑みで幹部室へ送り出された。
とはいえ、今日は幹部みんな出払ってるって冽くんが言っていたし、誰もいない可能性がある。
誰もいなければ家に帰るだけだし、一応覗くだけ覗いてみよう……。
──と、旧生徒会室エリアに足を踏み入れた、直後。
「……っ、ぅぐ!」
背後に人の気配がしたかと思えば、次の瞬間には口元を覆われ、羽交い締めにされていた。
「あんたQUEENだな」
低い声が耳元で響く。
「大人しくしろ。抵抗したら殺 す 。言うことをきけば無傷で解放してやる。わかったら首をゆっくり縦に振れ」
感情のこもらない声はまるで呪いのように体を支配する。
この響きをわたしは知っている。
考えるより先に体が従ってしまう声──まさに千広くんのような……。
というか、千広くんそのものに聞こえた。



