そっかあ、じゃないよう。
誰のせいでこうなったと思ってるの?
……と、がっくりきたときだった。
「ねえ、おーい」
廊下に響き渡った声に、周囲がとたんに静まり返った。
発したのは冽くん。
見れば、壁際のみんなに向かってひらひら〜と手を振っている。
「次からこの子のこと……じろじろ見た奴、こそこそ噂した奴は全員殺 すから」
冷えきった声、瞳。
たしかな殺意があった。
一瞬で空気が凍って、その場にいた全員の顔に怯えの影が走る。
「冽くん、そんなこと言っちゃだめ!!」
──自分の声が、想像の何十倍ものボリュームで廊下に響いた。
周りが静か過ぎた、せい。
「殺意は安易に人に向けるものじゃないでしょ、裏切られたとか、処理しきれないくらい辛い感情があるならともかく」
再びしーん……となる空間。
それから、ぽかーんとしたみんなの顔。
「るーちゃ……ごめんね、……」
トドメは、あまりにも弱々しい冽くんの声。
周りのみんなのぽかーんとした顔が、さらにぽかーん度を増した。
あ、あれ……。
えっと……。
焦りが徐々に這い上がってくる。



