BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-


言葉の通り、たしかに焦りをはらんだ声に。

心臓がおかしな音を立てた。


それから、千広くんの体温が触れている部分に熱が移動する。

脚と、背中……。

だけじゃない。

いわゆるお姫様抱っこの状態で、体が密着して……。



「〜、お、下ろして、っ」


足をつこうとジタバタすれば、ぎゅっと抱え直される。

なんてこと、逆効果。


「下ろしてっ、重いから……!」

「暴れるな。余計重い」

「う、うぅ……」


返す言葉もなく、大人しく抱かれること数秒間。

暴れ狂う心音が聞こえてないか、ハラハラしたままベッドに下ろされた。


わたしを下ろした本人は、はあ、とため息をひとつ零してベッドを離れようとする。



「? ……どこ行くの、寝ないの?」

「寝る」

「えっ、でもベッドここだよ……?」

「お前がひとりで使えよ」


千広くんがソファで眠るってこと?

わたしに気を遣って?


ベッドに運んでくれたから、てっきり一緒に眠れるんだと思って……。

心臓が持つわけないのは承知で、ちょっと期待した、なんて言えるわけないけど。