「ごめんだけど、無意識にぽろっと本音飛び出ちゃった感じだから、絹くんには忘れてもらえるとありがたいよ~……」
「忘れられるわけなくね、一生ネタにして笑えるんだが」
「ひい……」
もしかして、この部屋に入ってからのセリフは全部演技だったってこと?
だとしたらタチが悪すぎる……けど。
――全部が嘘には、見えなかったな。
いずれにせよ本心は絹くんの中に必ず存在するわけだから、わたしが真偽を確かめる必要はない。
開吏くんや冽くんの生い立ちも事実かどうかはさておき。
絹くん自身はどんな過去を背負って生きてきたんだろう……。
シャツの袖口から覗く黒百合を見て、ぼんやりとそんなことを考えた。
──────
───
「ところで、ようやく本題です安斉サン」
約一分ほど経った頃。
本当にようやく顔を見せてくれた絹くんが、またにやりと悪い顔をする。
はっ。そうだった、わたし今から――。
「千広君からの伝言。”俺は今日戻らねーから部屋貸してやる。ちゃんとベッドで休め”」
「……へ?」



