「なんにせよ安斉サンが負い目を感じる必要はないんじゃね? 千広君は情で動くタイプじゃねえもん。あんたの元彼をわざと泳がせてるって考えんのが妥当だろ」
そうなのかな。
そうだったら少しは気が楽になる。
わたしの存在が本来とるべき行動の妨げになるのだとしたら、申し訳なさすぎて息もできない。
カチ、とライターに火をつける音がした。
「んで。開吏はなんか言いたいことあるか?」
「……。モブ子先輩の元彼って、本当に元彼ですか?」
意味をかみ砕くまで少し時間がかかった。
「実は今も付き合ってたりして。そうだとしたら大問題ですよね。うちのQUEENが黒帝を貶めようとしてる奴の彼女とか。つーか”元”でもふつーにアウト」
「……おい開吏」
「ほら、図星だからなんにも言えないんだ。千広さんのためを思うなら出ていったほうが――」
「開吏!」
突然の怒号にびくりとする。
「この子は千広君が選んだ女だ。口の利き方に気をつけろ」
その言葉は白い煙を纏いながら、ナイフのように鋭く空気を裂いた。



