ゆっくりとした口調ではあるけれど、どこかに鋭さを潜めた響き。
かちん、と体が硬直する。
暗がりの中、その場にいる全員の視線がいっきにこちらへ流れるのがわかった。
千広くんが一歩前に出る。
「その前にひとつ――ご存じの通り、黒帝では毎月QUEENを女子生徒の中から抽選によって指名しておりまして」
「ああ知っているよ。その子は“今月の”のQUEENなんだろう」
「ええ。ですので彼女はこういった場に慣れておりません。どうかお手柔らかにお願いいたします」
「もちろんだとも。しかし今夜限りというのは寂しいものだね……。近くで、顔をよく見せてくれるかい」
──「今月の」QUEEN。
──「今夜限り」。
胸をわずかに抉ってくる言葉たちは、見えないふり。



