BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-



「熱あんの?」


繋がれたほうと反対の手がおもむろに伸びてくる。

その指先が肌に触れるぎりぎりのところで、身を引いた。


「ねつ、は、ない……」

「じゃあなんだ」


「え……」

「さっき、急におかしくなっただろ」


「おかしく……なってない」

「………」


「わかんねえから……顔、見せろ」

「や、……う」



だから、顔色をたしかめるためとはいえ、抱き寄せるようなこと、しないでほしい……。


なんて。

自分から手を握っておいて、言えるわけもなく。


「おーい、千広君、もうそろ時間やばい」


数メートル先から飛んできた声に、ほっと胸を撫でおろした。