結局返信はしなかった。
できなかった。
電源を落として無理やり頭から振り払う。
帝区は昔から入れ替わりの激しい街。
出ていった人が戻ってくるのはよくあるハナシで、だから大河くんがまたこの街に来たのも、何にも特別なことじゃない。
気にしなくていい。
もしたまたま会うことがあれば、「久しぶりだね」って普通にあいさつをすればいいし、返信しなかったことを咎められたら、スマホを変えて連絡先が消えてしまっていたと、言い訳をすれば……。
「――あやる?」
はっと顔をあげる。
「体調わるいのか」
わたしの前を歩いていたはずの千広くんが少し身をかがめて目線を合わせてくる。
「ううん、だいじょー……ぶ」
「………」
「ちょ、ちょっと緊張した、みたいな……。ほら、よくわかんないけど夜会って偉い人たちがいっぱい来るんでしょ? だから……」
「お前、昔から大人相手でも緊張とは無縁って感じだっただろ。校長に怒られた時ですら、けろっとしてたしな」
「……っ」



