BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-


それを隠すのにちょうどいいタイミングでスマホのバイブレーションが響いた。

……今度はわたしのじゃなくて、千広くん、の。



「鳴ってるよ電話」

「ああ」

「出ない……の?」

「ん……めんどくさい」


誰からだろう。

ベッドの上で光る画面をちらりと盗み見そうになる。

静かになったかと思えば、またすぐに振動。
鳴り止む気配がない。



「大丈夫? 急用なんじゃないの?」

「大した用じゃねえよ」

「そんなのわかんないじゃん」

「うるせぇから“拒否”押して、お前が」

「え?」

「画面のボタン、押せ早く」



ボタン押すくらい自分で……と思いながらも、千広くんに言われたらこの体は無条件に従ってしまうのだ。

少し体勢を変えれば届くのに。
よっぽどきついのかな……。


ゆるく抱きしめられた状態のままスマホに手を伸ばして、トン、と画面をタップした───はずだった。