気を使ってくれた……のかな。

さっきまで冗談めいていたのに、どうしてここで急に強い言い方になるのか、振れ幅に困惑する。


そもそも、千広くんの“冗談っぽい”は本当に冗談なのか、“本気っぽい”は本当に本気なのか。いつだってわからないのだ。


ただ、触れた手から伝わる体温があたたかいのは確かだった。



「うちのQUEENはお前。今日から、黒帝で1番愛される女だ。わかったか」


そして、彼の本心がどうであろうと、彼の口にすることにはすべて、絶対的な力が秘められているように感じる。

千広くんが地球は四角いと言えば四角いし、千広くんがポテチはのり塩が好きだと言えば、この世で1番美味しいのはのり塩になるくらいの。



「わ、かった」


おかしいハナシ、横暴なくらいの物言いに安心する。それでいいと思わせてくれる。

こんなの、千広くんだけだと思う。