「周りの女に妬まれるのが怖かった、もしくは……」

「…………」


違うけど、そういうことにしておいたらいいかもしれない。
頷きかけたのを、千広くんが遮る。



「いや違うな。お前はそんなくだらない理由で逃げるような女じゃない」

「う、」

「俺が嫌いか?」


なに、その脈絡のない問いかけは。


「千広くん、さっきから質問しかしてない」

「お前がなんも話さねえからだろ。それ以前に目すら合わせようとしない」



わたしが退いた分を埋めるように、大きく距離が詰められた。


「酷い話だろ、なあ」


中学のときと同じだ。
千広くんの近くにいると、動けなくなる。


「ずっと会いてーなあって思ってた女が、せっかく目の前にいるのに」