頭の中では、冽は俺を陥れるような真似はしないとわかっているし、そもそも、いつも冽が調合した薬を飲んでいるにも関わらず。
結局俺は、仲間のことですら完全に信じることができない。
そういう風に育てられて、今でもその癖が抜けない──最低で愚かな人間。
まさか中身が、冽の作った“アレ”とは思わなかった……が。
結果、飲まなくて正解だった。
鎮痛剤が効き始めた体で理性だけが飛ぶ、とか……最悪のハナシだな。
なのに当の本人ときたら。
「苦しかったらちゃんと言って。昨日は千広くんが助けてくれたから、ええと……だから、わたしの体、好きなように使っていい……から」
目にうっすら涙を浮かべながら、震えた声でそんなことを言う。
理性がいとも簡単にぐらついて、目眩がした。
──『キスとかはね、わたし好きな人とかしないって決めてるんだもーん』
中学時代のあやるの声が脳裏をよぎる。
机に両手で頬杖をついて、無邪気に笑っていた。



