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「ちょっとは楽になった? 水持ってこようか?食べたいものとかあるなら買ってくるよ」

「いい。ここにいろ」


痛みとか熱とか、例えどれだけ酷かったとしても、あやるが今ここにいるなら全部どうでもいい。

そばにいてくれるなら、ずっと痛いままでも構わない。痛みと引き換えにあやるに触れていられるなら安い話だとすら思う。



「でも千広くんつらい……でしょ? 熱もそうだけど、あの薬……媚薬みたいなの、飲んじゃって」

「別にどうもない」

「そんなわけない、わたし昨日あれ飲まされて苦しかったもん。千広くんが……して、くれなかったら、絶対おかしくなってた」


……そうだな。

俺があの薬を“本当に飲んでいた”なら、あやるは今頃、無事では済んでないはずだ。


鎮痛剤、解熱剤、粘膜保護薬。

3錠手のひらに並べたとき、冽が解熱剤だと言って追加で持ってきた薬は、違うものだと匂いで気づいた。