「もう騒がないので、ちゃんとベッドで休んで、お願い……」


せめて、本気で心配していることだけでも伝わってほしい。
そう思ってそっと腕を引くと、思いのほか素直に立ちあがってくれた。


さすがは黒帝KINGの部屋。
ベッドのサイズも段違いだった。


「お城みたい……」


そう、呟いたのとほぼ同時。


「ひえ!?」

ベッドに腰を下ろした千広くんに、ぐいっと腕を引かれた。

どさ……と倒れこんだ先、至近距離で視線がぶつかる。



「ちひろく……」

片腕で抱き寄せられ、もうなにも言えなくなる。


「もう少しこっちに来い……」

「う……ん」


この瞬間、改めて実感してした。

相手が、黒帝KINGの松葉千広だから、じゃない。

わたしが本能的に従ってしまうのは、この人が好き……だからだ。