「ええと……ないの?アレ、解毒剤とか」
「ない。娯楽のためだけにつくった薬だからねえ……。水をいっぱい飲んでくださいくらいしか」
わたしの場合、水を飲んでも全然収まらなかったけど大丈夫なのかな……。
心配するわたしたちをよそに、当人は、長い溜息をひとつ零して。
「この手の薬なら俺は自制できる。もういいから部屋に戻れ」
──千広くんの言うことは、ぜったい。
何か言いたそうにしていた冽くんも、結局は黙って部屋を出て行ってしまった。
わたしはどうしたら……。
おずおず視線を向ければ、「お前はここにいろ」と小さな声が聞こえた。



