BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-


千広くんを説得するために勢いで出てきたセリフに「あ……」と、ワンテンポ遅れて赤面する。


だけど、負けじともうひと押し。



「ヒナタちゃんとかわたしの友達もみんないっぱい経験してるし……絹くんでも冽くんでも開吏くんでも、誰でもいい……」


本心を悟られないようにじっと耐えていれば、千広くんのほうが先に瞼を伏せた。



「……───、」


小さく呟かれた言葉は聞き取れず。



「……なに?」


聞き返せば「いや」と乾いた笑いが返ってきた。



「悪かったな。QUEENの欲求不満に気づいてやれなくて」



浮き沈みのない声からは感情が読み取れない。

冗談とも取れず、固まってしまう。



「いつから……なんで、そんな安い考えの女になったんだ」

「っ……」

「好きな男と別れたからか?」



直後、ぐらりと目眩がした。

──わたしを動揺させるには十分すぎたその言葉。

思い出したくない記憶を、嫌でも呼び起こす。