最後まで言い切らず、ぱっとわたしから離れていく。
順番待ちをしていたかのように、次は絹くんが急に距離を縮めてきて。
「飛び抜けて美人なわけでも可愛いってわけでもねえけど……おれ的に超イケる」
「ぐ、近いです……」
「おれを指名しな? 優しくしてやるよ」
「ええ、そんな急には」
指名する、しない以前に、異性と密着した経験がほとんどないせいで返事を考える余裕もなく。
たじたじの状態で、胸板を押し返すのが精一杯。
「てかモブ子先輩。なんで前髪そんなに伸ばしてるんですか」
少し離れた場所から、どうしてかキレ気味に開吏くんが尋ねてくる。
「んん、切るの面倒くさくて……。でもアイロンで巻いたらいい感じの長さになるので、まっいっかな〜?と」
自分から聞いたくせに「あっそ」と言ってそっぽを向いてしまった。



