黒帝に来て、初めての平和な50分間。
終業のチャイムがなる頃には、先生はうっすら涙が浮を浮かべていて。
「どういう心境の変化かわからないですが……皆さんが私の授業を真剣に聞いてくれてとても嬉しかったです。どうせ誰も真面目に受けないのに、夜中に授業の準備をしているとつらくて……正直もう辞めようとも思っていました。だけど、皆さんのおかげで思い直すことができました」
思わぬ言葉に、胸の奥がぎゅっと狭くなる。
「黒帝の生徒さんは世間から見れば、問題児なのかもしれませんが、皆さん自由で個性が光る子たちだと思っています。元気な姿を見るだけで教師をしていてよかったと思えます。周りになんと言われようが、あなたたちは落ちこぼれなんかでは決してないので……ええと、明日も元気に登校してください。それだけで嬉しいです」
いきなり、まとまりもなくすみません、と先生が頭をさげる。
誰も何も言わなかったけれど、笑ったりバカにしたりするような人もいなかった。



