BLACK KINGDOM -夜明けまで、熱く愛して-

騒ぎが波のように広がる中、それをどこか遠くで聞いているようなヘンな感覚に陥る。

クラス中の視線を浴びながら、背中がゆっくり、ゆっくり冷たくなっていく。


「あやるちん‼ すごいすごいっ、やったー!!」


ヒナタちゃんにこれでもかってくらい肩を強く揺すられている。


冗談が……現実になってしまっ、た?



──『これ以上、松葉千広を庇うって言うなら殴るだけじゃ済まねえよ』


フラッシュバックする。次から次へと流れる……走馬灯、みたいに。



「……千広くん、」

無意識に零れた声は、クラスの喧騒にかき消された。